線維筋痛症という病気について

ご報告, 雑談

これから書く話は、私の体に関する個人的な話ではあるのですが、
同じような症状に悩まれている方の参考になるかもしれないと思い書かせていただきます。
長文になりますが、ご了承ください。
また、私は医者ではないので、これらの話は医学的根拠がある訳ではなく、
あくまで私の個人的な見解であることもご理解いただければ幸いです。

線維筋痛症という病気について

気になりだした全身の痛み

私は、4年ほど前から全身の痛みに悩まされていました。
はじめは筋トレで痛めた背中が少し痛むぐらいだったのが、
徐々にその痛みが胸のほうに広がり、呼吸をするのも苦しい。

夜は激しい背中の痛みでなかなか寝付けず、
ベッドで寝たはずなのに夜中にうなされ
朝起きると床に転がって寝ている・・・そんな状況が毎日のように続きました。

どのような痛みかというと、ヒリヒリやズキズキという感じではなく、
激しい運動をしたあとの筋肉痛を10倍ぐらいにした感じ。
背中、胸、腰、首、肩、肘、膝、腿、足首。
何も運動をしていないのに、常に筋肉痛のような状態で
ちょっとした動きですぐに寝違えやむち打ちのようになります。

仕事が出来ないほどではありませんでしたが
夜や朝、、食後、天候の悪い日は痛みがひどく
身体を動かすのもしんどい状態でした。

やがて、胸の痛みが大きくなったため
いくつかの病院で検査をしていただきました。

結果・・・何も異状なし

血液検査、レントゲン、CT、胃カメラ、
様々な角度から検査をしていただきましたが、すべて異状なし。
唯一、胸椎が少し湾曲してヘルニアのようになっていたので
そこで神経が触れて痛みを出しているのではないかとのこと。

鍼治療、カイロプラクティック、整体、マッサージ。
噛み合わせが悪いのではないかと、マウスピースも試しました。
でも、一時的には良くなるものの、根本的な改善には至らず
平行線が続きました。

全身の痛みや重だるさはあったものの、仕事が出来ないほどではなかったため
自宅でもストレッチなどを心がけ、
「いつか良くなるだろう」と思って生活をつづけました。

第一の過ち

やがて、痛みだけではなく、頻繁に咳が出るようになりました。
喘息のような激しい咳。
少し話をするだけで咳が止まらなくなるため
講演などにも悪影響が出始め、呼吸器科で診ていただくことにしました。

ここでも、血液や尿などには異状なし。
ただ、肺活量や呼吸する力が著しく低下していたため
「咳喘息の疑い」という診断を受け、薬を処方していただきました。
これが、第一の過ち。

喘息の薬というのは、吸入ステロイド薬。
たしかに、喘息のような咳はピタリと止まりました。
おまけに、花粉症の鼻水やクシャミなども出なくなったので
一石二鳥だと喜んでいたのも束の間、
次第に、口の中に口内炎ができ始め、やがて
すべての歯茎が膿み始めました。

「吸入した後はしっかりうがいしてください」と言われたので
その通りしっかりやっていたつもりでしたが、
やり方が甘かったのかもしれません。
歯茎から膿が出て、歯医者にも通い、抗生物質を飲んで少し治まり
また膿んでを繰り返しました。

結果的に、その後は吸入ステロイド薬をやめても咳が出ていないので
喘息ではなかったと思われ、副作用に悩まされただけだった気がします。

歩行も困難な状態

痛みに耐えながら生活を続ける日が3年ほど続きました。
その間も、鍼やマッサージなどは続けていましたが、
やがて治まるだろうと思っていた痛みは
治まるどころかさらに大きくなり、
やがて階段の上り下りや、歩くことさえ辛い状態になりました。

夕食後は、のたうち回るほどの胸(あばら全体)の痛み。
睡眠も浅く、いつも3時間ぐらいで目が覚める。
肘までの痛みはさらに指先へ広がり、物をつかむこともできない。
気力もなくなり、仕事にも集中できず、
仕事ばかりか、日常生活さえも苦しい状況になっていきました。

症状をインターネットで調べていくと、
どうも「線維筋痛症」という病気がかなり近いことに気づき、
50歳の誕生日を迎えたのを機に、本格的に治療しようと
専門医を探して訪れることにしました。

線維筋痛症

線維筋痛症とは、あのレディガガさんも苦しんだという原因不明の病気で、
血液などの異状が見られないことから診断もむずかしく、
外見からは健常にしか見えないため、なかなか理解してもらうこともできないというものです。

現在、治療法の見つかっていない難病でありながら
希少性の問題で指定難病にならず、
解決への具体策も見つかっていないという厄介な病気です。

症状は、全身の痛み以外にも多岐にわたりますが
私に当てはまるものは

微熱、疲労感、倦怠感、手指のこわばり、関節痛、動悸、呼吸困難、
光線過敏症、アレルギー症状、めまい、耳鳴り、抑うつ症状、
不安感、焦燥感、睡眠障害、集中力低下、健忘、起床時の不快感

などでした。

無性にイライラして怒りっぽくなったり、
まったく意欲がわかずボーっとしていたり、
もの忘れが激しくなったり、
急に不安になって落ち込んだり、

私はずっと、人よりもプラス思考だと思っていたし
脳科学なども学んでコントロール法も知っていたはずでしたが、
毎日、脳に霧がかかったような状態というのでしょうか、
生活にまったく現実味がなく、夢の中にいるような状態。
覇気がなく、生きているのか死んでいるのか分からないような状態が
ずっと続いていました。

もしかしたらこれが「鬱」という状態だったのかと
今はそのようにも感じます。

何よりも辛かったのは、小さな我が子を「抱っこ」することさえ
できなかったということ。

ちょっと無理をして子どもを抱きかかえただけで
そのあと3~4日は全身の激しい痛みが続き、
歯がゆさと情けなさに落ち込んだり、イライラしたり、
子どもに怒鳴ってしまうことも多くありました。

本当に、家族や周りの人たちにはたくさんの迷惑をかけました。
病気だと理解してもらえず、離れていく人も多くいました。

そんな中、やっと病名が分かったと思い
喜んで病院に向かったのですが、
そこからがまた、苦しみの日々でした。

第二の過ち

病名の見当がつき、線維筋痛症にくわしい病院に行ったはずだったのですが、
先にも書いた通り線維筋痛症は診断の難しい病気です。
血液検査も何もかもが正常値。
痛みも自己申告でしかありません。

さらには、線維筋痛症だったとしても、最善の治療法が見つかっていないこと。
医師の見解はこうでした。

「線維筋痛症は治す薬がない。似たような症状の〔リウマチ性多発筋痛症〕なら
ステロイド剤の服用が効果的なので、とりあえずそれを試してみますか?」

私は、とにかく痛みや苦しみから解放されたかった。
治らないのであれば、治るほうに賭けるしかありません。
ステロイド剤の服用を決めました。

通常、線維筋痛症には、ほとんどステロイド剤は効かないと言われています。
ところが、私の全身の痛みは、服用直後に劇的に軽減したのです。
身体に痛みのない状態なんて、何年も忘れていました。
痛みがなくなったときの感動は、衝撃的なものでした。

それと同時に、治る見込みのない病気じゃなかったと
とても安堵したことを覚えています。

ところが、その喜びも束の間、それからの半年間は
副作用との戦いでした。

顔がパンパンに膨れ上がる「ムーンフェイス」。
体重は半年で15kg増え、
治まりかけていた歯茎も、また次々に膿みはじめました。
歯は根っこから腐り、とうとうインプラントに・・・。

ちなみに、「リウマチ性多発筋痛症」というのはリウマチとは違い、
関節などの腫れはありません。
でも、その後なぜかリウマチの専門医に移され、
ステロイド剤の増量と、骨粗鬆症の薬を出されたときに、
私は、そこに通うのをやめました。

ついに原因が判明か?

そして、別の病院で一から検査をし直すことにした私。

ステロイド剤は絶対に飲みたくないと伝え、
とりあえず痛みを緩和する「リリカ」という薬を飲みながら
血液検査、レントゲン、CTを受けました。
しかし異状なし。

その後も続く全身の重だるい痛み。
食後は毎日のようにうずくまっていました。

ある日、医師にそのことを伝えると
「エコーで診てみましょう」と。

すると、胆嚢に影が見つかったのです。
「ああ、胆石かもしれませんね」

胆石が胆汁の出口をふさぎ、消化を阻害するために
全身に炎症が起きている可能性があるとのこと。
食後の激しい胸の痛みは、その可能性が大とのことで、
胆石を溶かし胆汁を出す薬を出してもらいました。

これが正解。
食後に起こっていた胸の痛みは
かなり軽減しました。

「胆嚢摘出はかなり大手術になってしまうので、
薬が効いているならしばらくこれで様子を見ましょう。
そして、数か月後にもう一度、石の状態をエコーで診てみましょう」

「ただ、もうひとつ気になるのは、歯茎の膿。
ステロイド剤でそこまでなることはあまりないので
もうひとつ〔シェーグレン症候群〕の可能性もあります」

指定難病

胆石かと思い、少し安心していたら
シェーグレン症候群という聞き慣れない病名。
これは、目や口の中が異常に乾く指定難病とのことです。

難病に指定されたほうがその後の医療費などはかなり助成されますが、
やはり指定されてしまうのは怖い気がする。
しかも、私は特に目や口の渇きは感じていない。

シェーグレン症候群の検査を受けるかどうか悶々とする中、
とりあえず胆石を溶かす薬とリリカが効いてはいたので
以前ほど激しい痛みに悩まされることはなくなりました。

でも、不安感や無気力感、イライラ、運動の後の激しい痛みなど
問題が解決したわけではありません。
ただ症状が軽くなったというだけのことです。

このまま、胆石がなくなればすべて解決するのか?
それとも、シェーグレン症候群なのか。

あれこれ悩む中、2回目のエコー検査の日が来ました。

ところがそこで、私はさらにショックなことを知ります。

振り出しに

2回目のエコー検査の結果、医師から意外な言葉を聞きます。
「石では・・・ないですね」

石が消えたというわけではありません。
影のようなものは見えるけれど、形が変化する。
石だったら形は変わらないので、これは石ではなく「胆泥」かもしれない
とのこと。

つまり、胆石が詰まっているわけではなく、
胆汁そのものがドロドロしていて詰まりやすい、
今までの薬は有効なので、引き続き行っていきましょうということでした。

胆石ではなかった。
でも、薬はある程度有効。

シェーグレン症候群かもしれない。
でも、それには今の薬は効かない。

様々な情報が入りすぎて、訳が分からなくなってきましたが、
とにかく、それほど単純なものではなく
いくつもの病気が同時に起こって
それが全身にあらわれている。

一生この痛みとは付き合っていくつもりで
少しずつ良くしていくしかない。

すべてが振り出しに戻った気分。
もう、健康な体に戻ることはできないのか?
痛みが完全になくなることはないのか?
ずっと薬を飲み続けていかなければならないのか?
ずっと家族に迷惑をかけ続けなければならないのか?
もう、二度と子どもを抱きかかえて思い切り遊んであげることはできないのか?

そんな気持ちで、途方に暮れたのが
ほんの1週間ほど前のことです。

急展開

そして今から6日前。
私は会社の事務所で、社労士さんと打ち合わせをしていました。

ちょっとした世間話で今の症状のことを話したところ、
社労士さんは、骨折やケガを短期間で治すという機器の話を教えてくださいました。
NASA(アメリカ航空宇宙局)の最先端技術から生まれた機械だとかなんとか。

とりあえず、試してみようと
近隣でその機器を使っている接骨院を見つけ、
翌日すぐに受けに行きました。

様々な病院で4年も診てもらって治らない病気です。
見込みは薄いかもしれない。
でも、せめて背中の痛みだけでも和らげば・・・

そんな藁にもすがる思いでした。

すると、私の身体を触った院長が開口一番
「ああ、脊柱起立筋が完全に切れていますね」
「もう、何年も経っているので時間はかかるかもしれませんが、くっつきますよ」。

そこで私はハッとしました。

今まで整形外科も、外科も、内科も、いろいろ足を運んだ。
でも、脊柱起立筋が切れていることを指摘されたのは初めてだ。

そうなのです。
レントゲンで診てもらっても、筋肉自体が切れているとは
誰も指摘してこなかったのです。

魔の1時間

そして施術開始。
痛い、痛い、痛い。
筋膜をはがして伸ばしてくっつける、みたいな、
罰ゲームのような魔の1時間。

でも気持ちいい。
ピンポイントで、今までやってほしかった
治してほしかった痛みに手が当たります。

切れた部分を引っ張って、そこに例の機器を当て、
1時間後、施術が終わりました。

軽い。身体が軽い。
背中の痛みが和らいでいる。
ついでに、上げることも苦痛だった左の五十肩も軽々と上がる。

まるで催眠術にでもかかったかのようでした。
筋肉が完全に着くまでに1週間ぐらいかかるというので
5日目の今はまだ、完全かどうかは分かりません。

ただ、そこで施術を受けてからの5日間、
私は一度も痛み止めの薬を飲んでいません。

今までだったら、1回飲み忘れただけで
全身が痛んで飲み忘れに気づくほどだったのに、
この5日間はそれもありません。

そう、背中の痛みだけでなく、
膝も、指も、肘も、
まだ完全ではありませんが
薬がなくても良いぐらい和らいでいるのです。

結局のところ

まだ施術を受けてから日にちが経っていないので、
これで完治に向かうのか、一時的なものなのかは分かりません。
効果があったとしても、たった1回で完治は難しいかもしれません。
1週間後にまた通院中の病院の予約が入っているので
見解を訊いてみようと思っています。

でも、自分なりにこの4年間を振り返ってみると、
やはりリウマチ性多発筋痛症でもなく、胆石でもなく、
シェーグレン症候群でもなく、
線維筋痛症の可能性が高いのではないかと思います。

線維筋痛症は、身体の一部のケガなどにより負担がかかり、
そこに大きなストレスが重なると発症すると言われています。

背中の脊柱起立筋を痛め、その痛みをずっと庇い、耐え続けることで
脳が誤作動を起こし、正常な部位にも痛みを感じるようになる。

痛み止めを飲んでも、炎症を抑える薬を飲んでも、
根本的なケガの部分が故障したままでは
いつまで経っても快復には向かいません。

その、根本の根底の部分、背中の筋肉が切れていたということに
4年経って初めて気づくことができました。

現在私は、まだ若干の痛みはありつつも、
イライラや不安、脳に霧がかかったような状態、
無気力感などはかなり良くなり、
徐々に集中して仕事に打ち込めるようになってきています。

誰にも理解してもらえなかった全身の激しい痛み、
無気力感、不安、怖れ、
それはそれは孤独で、情けなくて、苦しいものでした。

このまま、背中のケガとともに
4年間の苦しみがすべて和らいで、
以前のように生き生きと仕事に打ち込めるようになりますように。

そして、心から笑って、子ども達を抱きかかえられるようになりますように。

そんな日が来ることを夢見ながら前に進んでいきます。

最後に

最後に、同じような「理解してもらえない病」に苦しんでいらっしゃる方々に。
最善の治療法が見つかり、心からの笑顔が訪れますように。

私の経験が、少しでもお役に立てれば幸いです。

向井邦雄

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